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電車に乗れない|パニック障害の治療法と解決法

電車に乗れなくなった30代男性

Dさんはいわゆる営業職の30代男性。入社以来技術畑出身でしたが、異動を機に慣れない営業をすることになりました。

元来話すことがあまり得意でなく、お客さんに自社商品を説明するときもしどろもどろ。

上司から怒られることも多く、営業のノルマもなかなか達成できずにいました。

ある日出社しようと自宅最寄駅に行きましたが、電車に乗るのが怖くなってしまい、その日は遅刻をしてしまいました。

日を追うにつれ「病院に行く」「親が入院した」などの架空の理由で会社を遅刻・欠勤していましたが、一週間も経った頃には電車に乗るのが怖くてついに無断で会社を休んでしまいました。

 

理解と対応:

こういった事例も良く見受けられます。

結果として「うつ状態」のようになっていくことも多いのですが、その本質的な問題は違うところにあると思われます。

電車に乗れない理由は、会社で怒られるであろうこと、営業がうまくいかないであろうこと、ノルマが達成できないであろうこと、などの不安感や恐怖感、不全感などから来るものといえます。

さらにそれがなぜ起きているのかを考えると、異動がきっかけと言えるでしょう。

あまり営業に向いている性格とは言えないのかもしれませんが、正社員で働いている以上、異動の辞令に対してNoとは基本的には言えません。

 

この場合、まずは産業医や産業保健スタッフと一度話してみるということが必要になります。

産業医(その会社で医学的に働くことが可能かどうかを判断する権限がある)や、産業保健スタッフに相談することによって、自分の気持ちをまず出しつつ、現実的な労働面で医師の判断を仰ぐことが必要になります。

産業医や産業保健スタッフは、Dさんの上司からも話を聞くはずですので、職場でのトータルな判断というのが必要になります。

 

逆に、いわゆる「気合いと根性」で出社を続けていると、状況自体は基本的には好転しないと予想され、上記の通り「うつ状態」と悪化をしていくか、退職・転職を迫られるか、といった事態になってしまうでしょう。

 

会社は安全配慮義務(従業員に安全に、健康的に働いてもらうための配慮義務)がありますので、現に不調が出ている状況の中では何らかの対応をする必要があるといえます。

せっかくの人材を失ってしまうリスクに対しても、何らかの対応をするのがbetterといえます。

 

そのような中で、カウンセリングではまずは状況整理や、ご本人のお気持ちを充分に聞かせていただきます。

というのは、電車に乗れなくなっている位につらい気持ちを、誰にも言うことができていないことがほとんどだからです。

「電車にも乗れない」と自分を情けないと思ったり、責めたり、会社に申し訳ないと思ったり、いずれにせよ自分で自分をさらに追い詰めてしまうことが往々にして良くあります。

無理もありませんが、まずは更なる状況の悪化を食い止めていきたいところです。

 

それと同時に、何らかの対処も必要になります。

必要に応じた助言(上記産業医のことや専門医の受診など)や、もしご本人の気持ちの持ち方や行動が少し変わることによって楽になることが見込めれば、そこに対してアプローチをする時もあります。

いずれにせよ、「対処」という、「出口」を一緒に考えていくことが必要になりますし、そこは専門的な知識なども必要になってくるところです。

 

まずカウンセリングに一度来ていただくことによって、「出口」を一緒に探していくことができると思います。