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喉の異物感|心理的問題、治療法と解決法

喉の異物感が取れない

Hさん 40代 男性

主任から課長へと最近昇格したHさん。

もともと担当していた業務だけでなく、管理業務、打ち合わせ、部長との調整なども増えましたが、昇格したという嬉しさもあり、土日の出勤も厭わず業務をこなしていました。

1ヶ月が経つ頃、喉に何か引っかかっているような、何か飲み込みづらいような、そんな違和感を感じていましたが、体調の問題だろうと思い、引き続き業務をこなしていました。

3ヶ月も経つ頃には、常に喉に何か詰まっているような感じがつきまとい、食事を飲み込むことにも違和感を感じるようになりました。

業務の合間に内科を受診して胃酸を調整する薬を出してもらいましたが、なかなか改善をしません。

ついには、喉の詰まりの感覚から常に嘔吐しそうな不快感を感じながら、充分なパフォーマンスを発揮できない状態になってしまいました。

 

理解と対応:

こういったケースの場合は、まずは鑑別が必要になります。

つまり、内科的に問題がないことを確認する必要があります。

もし咽頭にポリープなどあった場合は、そちらを内科的・外科的に治療する必要があります。

こういった内科的に何も問題がないのであれば、実はこういった症状も心理的な問題の表れとして出てくることもあります。

 

心理的なストレスや、疲労が体を介して出てくることがあります。

緊張のあまり、頭痛がするなどの経験をされたことはありませんか?

こういったものを身体症状症(以前は身体表現性障害)と言います。

今回は喉の違和感、嘔吐感という形で現れていますが、時にこれらは非常に象徴的な形で現れることがあります。

すなわち、今回の場合はご自身で頑張ろうと思うあまりに、ストレスをストレスとして認識をしておらず、これ以上溜め込めない(=飲み込めない)というサインとして現れている可能性も考えられます。

 

なお、他にも身体的に痛い(痛風などではない)、内臓系の痛み、皮膚トラブル、生殖器の不快感なども比較的良く聞く症状です。

 

古典的には「ヒステリー」と呼ばれている症状も含まれていますが、まずは上述の通り内科的な問題の除外が第一の対応です。

除外できた場合は、自分のことを今一度振り返ってみる必要があります。

本人がストレスとして感じていないことが、実は全くの他者から見ると「そんなにストレスフルなのに、そう感じないの!?」と驚くようなことも時にあります。

 

ここに、カウンセリングを受ける大きな理由があります。

精神疾患の知識と経験をしっかり持ったカウンセラーと、日常生活の客観視、ストレスをストレスとして認識できない理由、さらにはその症状はいったい何を意味しているか、ご自身のパーソナリティとどんな関係があるかなど、心理的な問題を深めて洞察をしていく必要があります。

大抵の場合、必要に応じた薬物療法とカウンセリングを受けることによって症状の消失や軽減をすることが多いように思われます。

また、カウンセリングを受けることによって、次同じようにならないための気づきや対処も一緒に考えていくことも重要になります。

 

ただ、この身体症状症は疾病利得(病であることが本人の得になる、古典的にヒステリー)とも関係が強い時もあり、その場合は比較的長期にカウンセリングが必要になる時もあります。

 

いずれにせよ、薬物療法で軽快しない場合は、しっかりとカウンセリングを受けることも一つの方法としてお勧めいたします。