職場に「適応する」って?
医師が診断する精神科疾患の中に「適応障害」というものがあります。
メディアが取り上げた記憶に残るものとしては、20年ほど前に宮内庁・皇室関連の報道(皇太子夫人)がなされ、現在でも稀にそのニュースを見るときがありますね。
適応障害とは、自分⇔環境のマッチング(適応)がうまくいかないことにより日常生活に不安、緊張、うつ状態などの精神科的な問題が生じるというものです。
極端な話の例え話ですが、どんなに素晴らしい日本人のマナーを以てしても、(ありえないですが)どこかの宇宙人と対話をしようとしたら、まずうまくいかないでしょう。
その宇宙人100人の中で日本人1人で10日程生活をしたら、恐らくほとんどの方が「適応障害」になるのではないでしょうか?
(ひょっとしたら宇宙人と友好的になれる可能性もありますが…)
うまくコミュニケーションがとれず、段々話すことやその場にいるのも苦痛になってきて、あまつさえ元気がなくなってくる…
こういった適応障害により二次的にうつ状態になるというのも良く聞く話です。
こういったことは、宇宙人ではなく、会社に対しても起こりうることです。
いわゆる「社風」から、直属の上司が作りだす部の雰囲気、先輩・同僚・部下などのコミュニティ関係、取引先の方のパーソナリティなど、私たち個人は多くの「環境」の中で仕事をし、また一日の大半の生活を送っているわけです。
その中で、本人のパーソナリティと環境が大きくかけ離れていたとしたら、「合わない」と感じるのではないでしょうか?
例え話として、体育会系バリバリの社風や部の中に、明らかに文学的な方がいらっしゃったら、適応は難しいと思いませんか?
「合わない」中で頑張り続けると、上記のような形で精神症状(不安など)が出てきたり、二次的にうつになっていったりと、頑張りたい気持ちとは裏腹に頑張れなくなっていってしまいます。
そしてある日頑張れなくなった時に、心療内科等へ受診、そのまま休職といったことになり、その診断書には「適応障害」と記載されているときもある、といったことが生じます。
ここに、カウンセリングをする一つの有用性があります。
大抵の場合、ご本人はご本人なりに頑張ってらっしゃいます。
ですが、うまくいかなくなっていくのですが、「なぜ」うまくいかなくなっていくのかが、自分の視点からはよくわからなくなっている時が往々にしてよくあるのです。
カウンセリングはご本人はもちろん、会社、風土、残業時間等、見えないものから数字などで表せるものまで幅広く情報を聞いていきます。
それによって、ご本人の問題、環境的な問題、反応的な問題など、いろいろな問題に分けて考えまずは整理を行います。
そこから問題の解決を図っていくわけです。
しかし、これらの一連の作業はお一人では難しいです。
ご本人はご本人として頑張ってらっしゃるから見えなくなっているのです。
また、友人や家族でも難しいところがあります。
それは知識不足によるところが大きいのです。
しっかりと問題の所在をわけつつ、それぞれに対してアプローチを考えていけるのはカウンセリングです。
一度話してすっきり解決!といかない場合が多いですが、数回の継続面接によって問題の所在や解決方が見えてくることによって、驚くほど改善される方もいらっしゃいます。